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2005年10月14日

「ブル」

数年前、犬を飼おうってことになった。

犬の本を立ち読みしたり

何軒かペットショップや

大きな店のペットコーナーをまわった。



タウンページを見ているとそう遠くないところに

個人でやっているような所があり

興味を持って妻と出かけた。



看板は出ているが、普通の家で、

玄関の扉を開けると

いっせいに奥の部屋の犬が吠え出し、鳴き出した。

奥の部屋のドアが開くと

犬の大群が襲いかかってくるんじゃないかと一瞬、不安になった。



出てきたのは40歳前後の毛むくじゃらの男性で

商売人というよりは

パパイヤ鈴木みたいだった。



応接間にとおされ

古ぼけた革のソファーに座らされた。

犬の臭いがカーペットから

壁紙、カーテン、壁にかかった「子供の絵」にいたるまで

すべてに染み付いているようだった。

革のソファーで座りなおすたびに

ワンちゃんの臭いがズボンに染み入る気がした。



「パパイヤ」は私たち夫婦が犬が欲しい、

けれど犬に関しては完全な素人であるというのを

すぐさま見抜いた。



パパイヤはいろいろと日本各地で

賞をとっている「ブリーダー」だと言った。

まあ、トップブリーダーのひとりらしい。

壁には賞状みたいなものが飾ってあって

もちろんそれにも愛犬のにおいが染み込んでそうだった。

アホな私は「ブリーダーって何ですか?」と

またアホな質問をして

その講釈が延々と続くのを聞いて

「いかに自分がアホか」納得した。





そのあいだにもどんどんズボンに

ワンちゃんの香りが染み付いていく気がした。



パパイヤは言った、

「やっぱり、ブルでしょ」

「えっ?」とアホな私は聞き返した。

「ブルドッグだよ。」


「ああ、なるほど。

 ブルドッグってあのブルドッグですよね」



確かに「ブルドッグ」を縮めて言うなら

「ブル」でしょうね。

「ドッグ」ならわけわからないですもんね。

そりゃ〜、「ブル」が正しいわ。

「ブル」でOK!

けど、「ブル」って「雄牛」のことでしょ?

まあ、いいっか。



「あのね、お宅ら素人にはわからないだろうが

 極めるとね、ブルにたどりつくんだよ。

 だから、よかったら、はじめからブルにしとけば?」


「いや〜、ブルですか?

 キャバリアとかラブラドールとか・・・」


パパイヤはうっすら笑って言った、

「映画と流行りでねえ、

 素人はすぐ飛びつくけど

 極めればブルだね。

 今、いいのが生まれたんだよ

 この前のチャンピオンの血をひいてるからね」

「はあ〜」

「見てくか?」

と言って立ち上がり

パパイヤは小さいブルちゃんを連れてきた。

「かわいいね」

と言いながら妻を見ると表情が完全に固まっていた。

まあ、じっと見てると

ブルも悪くないような気がしてくるから不思議だ。


相手はプロだし、

それでメシ食べてるし

経験もある人が言うんだから

やっぱりそれらしく見えてくる。

志望校を選ぶときにも

プロがこの学校がいい!ってすすめると

いい気がしてくるし

世間で「あの学校はすごい!」って言われると

そんな気がしてくる。
 


我々はどうもその「ブルちゃん」が

欲しいって思わなかったので帰るタイミングを探していた。

奥様がグラスに麦茶をいれて持ってきてくださった。

私は遠慮なく麦茶をいただいた。

妻はまったく口をつけなかった。

犬の匂いでもするって思ったんだろうか?




立ち上がり帰ることに。

玄関へ行くとまた犬の大群が

思いっきり吠えはじめた。

妻と一緒に

「ありがとうございました」

と礼を言って足早に車に向かった。




自分は「ブル」ばかりすすめていやしないだろうか?

人によっては

ゴールデン・レトリバーや

チャウチャウや

柴がいいって言う意見はしっかりある。



それに子供ならなおさら

外見よりも

捨てられた子犬のほうが

自分を必要としているってことで

どうしても手放さないような気がする。

たとえそれが雑種でも

一晩じっくり名前を考えて

かけがえのないものになるだろう。


そんな子に

「ブルはどう?」ってすすめても

全く無意味だ。


posted by りんご at 14:09 | Comment(10) | 学習塾一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
りんごさん、こんにちは。

今日のは読み始めてすぐに、結論が予測できました。悪い意味じゃないです。
「りんごさんなら、こう来る!」
って感じたんです。
そう。ブルばかりが良いわけではないです。
それだけを勧めるんじゃなくて、相手の求めそうなものを勧めたい。

りんごさん、
今日の僕、なんかヤバイんです。
起きた瞬間から神が舞い降りてきてて、
僕のイメージを形にしようとするんです。
夢が現実へ向かおうとしています!
創るぞ! 立つぞ!
男Sachi、27歳!

すいません。あんまりにも意味不明すぎました。
しかも、コメント欄に書くことでもなかったです。すいません。
浮かれちゃってます。
Posted by Sachi at 2005年10月14日 15:32
男サチさん、ありがとう。

十分張り切ってください!

かなり応援いたします。


結末はわかったでしょう?

実は別の方向があったんですが

書いてて恐ろしくなり

無難なほうへ行きました。


出てくるのが麦茶じゃなく・・・。


またよろしくお願いいたします。
Posted by りんご at 2005年10月14日 15:41
りんご先生、こんにちは。
いつも本当にありがとうございます。

りんご先生は小説家?随筆家?すごい文才ですね。
今日のお話も、とても面白く読ませて頂きました。


さて、英語に関する私の考え方をこだま先生の真似をしてシリーズで書いてゆこうと思いたち、始めてみました。
感想等をお聞かせ下されば、とてもうれしく思います。
よろしくお願い致します。m(v_v)m
 ↓
http://www.184s.net/article/8125049.html
Posted by 一橋進学塾の中村です。 at 2005年10月14日 17:09
突然お邪魔します 偶然にここにたどり着いて帰り方が分からなくなってしまいました
帰ってしまうとこの道がもう分からなくなってしまいそうなので・・
知人に教えていただいたことです「保健所に行けば沢山犬がいるよ」とのことです
人助けならぬ犬助け・・こんな方法もあるんですね 参考までに 
どうも失礼いたしました 御機嫌よう
Posted by オーロラ姫 at 2005年10月14日 20:33
オーロラ姫様、ご訪問ありがとうございます。

帰り方がわからないとのこと。

心配です。

またのお越しをお待ちしています。
Posted by りんご at 2005年10月14日 20:55
中村先生、こんにちは。

過分にお褒めいただきありがとうございます。

英語の連載、楽しみにいたしております。

それでは、また。

よろしくお願いいたします。
Posted by りんご at 2005年10月14日 20:58
こんばんは。
ごもっとも、です。
雑種だろうが、血統書付きだろうが、大切なのはあーでもない、こーでもないと名前を考えたり、嵐の夜は一緒に狭い犬小屋で寝てみたり、とその犬をかけがえのない存在にできるかどうか。
けして誰かに勧められるものが、その人にとってかけがえのないものになるとは限りませんよね。
意外と、自分でちゃんと見つけているものなんですよね、そーゆーものは。
親でもびっくりさせられることもしばしば。
Posted by Linen at 2005年10月14日 21:39
Linenさん、また来ていただけてとてもうれしいです。

素敵なお子さんをお持ちですね。

いつでもお越しください。

っていうか、困ったらご連絡ください。

私に出来ることならやります。

よろしくお願いいたします。

では。
Posted by りんご at 2005年10月14日 21:52
こんにちは!
いいですねえ〜。この虚構と現実の境目のなさがたまらないです。

私もはじめから、ブルは眼中にないです。なんだっていいんですよね。
Posted by こだま at 2005年10月15日 12:16
こだま先生、いつもありがとうございます。

いつもコメント欲しいときにコメントくださいますね。

>この虚構と現実の境目のなさがたまらないです。

結局、私はブログで文章修行をしているんじゃないかって思うんです。

私は書きたいから書いてます。書くことそれ自体が楽しいし、目的になっています。

そして毎日実験をしています。新しい手法を考えながら書いています。

毎回、読者の方が反応をしてくださり、すごくうれしく思っています。

先生はいつも文章を見てくださります。

先生に読んでいただくことが非常によい訓練になっています。

これからもよろしくお願いいたします。
Posted by りんご at 2005年10月15日 13:57
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