山田真哉さんのベストセラー
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を読み返しているのですが
(といってもはじめの部分とかだけですが)
すごく心に残ったところを引用します。
私は新たな決心をしました。
「本当の会計入門書を作るために、会計の常識からいったん離れよう」と。
そして、今回、次のルールを自分に課しました。
・日常の気になる疑問から話をはじめる
・会計の説明も教科書的な順序を取らない
・生活でも役立つような身近な知識も入れる
(中略)
かの文豪ゲーテも、「教科書は、魅力的であってもらいたい。魅力的になるのは、知識と学問のもっとも明朗で近づきやすい面を出して見せるときに限るのだ」と言っています。
私もできるだけ魅力的で退屈にならない教科書を作ってみようと思ったのです。
すごく示唆に富んだ文章です。
私がもしも算数の問題集を作るなら
いったん問題集の常識から外れなければなりません。
けど思うと案外そういう本はあるんですね。
そういう本はひとつの話題でひとつの問題が出てきて
それでぷつっと切れてしまいます。
見開きで終わってたり、裏に答えが書いてあったり。
まさに中学入試の算数なら
パズルという絶好のものがあります。
ゲーテの言うところの「知識と学問のもっとも明朗で近づきやすい面」ではないでしょうか。
そしてそういう本はやっぱりあります。
けれど深まりがないのですよね。
深まりとは何か?
それは量であり時間軸のようなものじゃないでしょうか。
私の場合は「ニュース性」にこだわります。
算数の問題というのはニュースでなければならないと思うのです。
ずっとずっと前、ブログをはじめて3年なのですが
当時ニュースサイトというものの存在を知り
そこに取り上げられている記事とそうでない記事の違いを必死に考えました。
そして2年前から自分でニュースサイトをするようになり
同じことを考えました。
結局は「ニュース性」があるかないかなのです。
何がニュースなのか、ということが大事なのです。
「小説」というものがかつてはニュースでした。
文学と呼ぶにはそこには何らかの新しさが必要で
それは新奇さではなくニュースであるのかということが重要だと思うのです。
私も塾というものをしているのですが
講師がホワイトボードの前に立ったとき
またはテキストを生徒との間に広げたとき
講師が生徒に伝えるべきニュースをもっているのかどうかというのは非常に重要だと思います。
算数自体、もう昔っから同じことをやっているわけですが
算数の問題を前にした時に
生徒が新しい朝刊を開いたときのような
新鮮な驚きをあたえることができるかというのは
講師の鮮度というか力量をあらわすでしょう。
私がもしも算数の問題集を作るなら
それぞれの問題がニュース性を持ったものでないといけない。
当たり前のことで、大人なら誰でも知っているような知識でも
それを今知った子供にはニュースであるかのように感じる
そういったものを作りたい。